歳時記

ウソを正当化する「論議の仕掛け」

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 政府は、八ツ場ダム建設中止の撤回をするそうだ。
「中止の撤回」といえば聞こえがいいが、「中止する」と公約しておいてそれを「撤回」するのだから、これはウソをついたということになる。
 わが身に置き換えてみればわかる。
 たとえば、
「クリスマスプレゼントをすると約束したが、撤回しよう」
 と愚妻に告げたらどうなるか。
「この大ウソつき!」
 柳眉を逆立てて怒るだろう。
 ところが、政府民主党に対して、国民はそこまで怒らない。
 なぜか。
 賛成と反対とで話をモメさせるからだ。
 モメればモメるほど、話はスタートラインにもどっていく。
 そうしておいて、
「やっぱり建設すべきだ」
 と結論すれば、論議がガス抜きとなって、国民は柳眉を逆立てないというわけである。
 だからクリスマスプレゼントについては、
「ウソつき!」
 と非難されたら、
「買うつもりでいることに変わりはない。ただ、果たして財政がそれを許す状況にあるだろうか」
 と言って論議をふっかけ、モメさせ、話をスタートラインに引きもどし、
「しかるに今回は中止とし、時期を待とう」
 と結論すれば、愚妻も不承不承に納得することになる。
 必要があって、ウソについて考えをめぐらせているが、ウソほど人間臭く、おもしろいものはないのだ。

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