「『自粛』の自粛を」
という意見が、政府や評論家から盛んに言われはじめた。
「自粛は経済活動にマイナスだ」
というわけだ。
菅直人首相も、「震災による過度な自粛ムードをやめよう」との国民向けのメッセージを近く出す方向だそうだ。
過剰な自粛は景気に悪影響を及ぼし、結果として復興の妨げになるというのが理由だ。
だが私は、「自粛」を「景気」に絡めて論じることが、心情的にスッキリしない。
私たちの自粛は、
「被災地の方々がお気の毒で、自分だけ温々(ぬくぬく)と生活していては申しわけない」
という気持ちのあらわれだ。
「それじゃ、景気に悪いから」という理由で、飲めや歌えのドンチン騒ぎしながら、一方で、
「被災地の方々はお気の毒だ」
と、彼の地に思いを馳せるという芸当は、私にはできない。
被災地の復興が始まり、少しずつ前途に光明が見えてきたら、自然と『「自粛」の自粛』はおさまっていく。
菅首相のやるべきことは、「自粛ムードをやめよう」と口先で国民向けのメッセージを発することではなく、この難局に対し、前途に希望というビジョンを示すことだ。
リーダーの責務は、まさにそこにあるのだ。
『「自粛」の自粛』って何だ?
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