私の歯を見て、「黄色い」と道場の女児たちが言い出した。
男児が、
「磨いていないんじゃないか」
と同調する。
「いや、ごしごし磨いてるんが、館長の歯は白くならないんだ」
私があわてて弁解するが、
「ウソだ」
「ウソだ」
聞く耳をもたないのである。
でも、私の歯が白くならないというのは本当のことだ。
去年、かかりつけの歯医者に愚妻を走らせたところ、
「あなたの歯は、胃液の関係で、きれいにしてもすぐ黄色くなるんだって」
そう言って帰ってきたことがある。
それ以来、私の歯は白くはならないとあきらめていたのだが、「黄色い」と道場で言われて、これは放ってはおけないと思った。
と同時に、
「あなたの歯はすぐ黄色くなる」
と言った愚妻の弁に疑惑を念を抱いたのである。
めんどうだから、歯医者へ聞きに行ったフリをして、適当なことを言ったのではないか。
愚妻のやりそうなことだ。
疑念は確信に変わり、私はそそくさと、今度は別の歯科医に予約を取った次第である。
金を出せば白くできることは知っているが、そこまでやるのはモッタイナイ。保険治療の範囲で、ある程度、白くなるのか、ならないのか。
いや、歯のことよりも、愚妻の弁はホントであったかテキトーであったか。
それが一年をへて判明する。
楽しみなことではないか。
私の歯はなぜ白くならないのか
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