麻生内閣の支持率がまた下がり、20パーセントを割り込んだと、読売新聞が報じている。
自民党役員人事の混迷を原因としているように、例によって麻生首相がブレブレになったことに国民が愛想をつかしたということである。
それはともかく、
(麻生首相はアホだな)
と思ったのは、自民党役員人事の刷新は、安部元首相の進言であるということだ。
報道によると、安倍元首相はひそかに首相公邸を訪れ、人事刷新と早期解散で「麻生降ろし」を封じるよう、熱心に説き、麻生首相は「うんうん」とうなずきながら耳を傾けたという。
私が麻生首相なら、安部氏の〝口説き〟には乗らない。
進言の内容が悪いからではない。
政権を途中で放り投げた男の進言であるからだ。
安部元首相は健康上の理由を口にしているが、一国の首相たる者、国政に命を懸けるのが当たり前だろう。「死んで本望」と言うならわかるが、そうではないのだ。
いわば、敵前逃亡。
そんな男の進言に耳を傾けることが、そもそも間違っていると、私は思うのである。
私は仕事にしろ、プライベートのことにしろ、「案件」ではなく「人間」で判断する。
どんなにリスキーな話でも、それを持ってきた人間が信頼に足りる人物だと思えば引き受ける。
反対に、どんなに素晴らしい話であっても、それをもってきた人間が信頼に欠ける人物なら、断る。
ところが人間は、往々にして「案件」で応諾を判断する。
(この人間は信頼面でちょっと欠けるけど、でも、この話は堅そうだ)
となる。
欲である。
だから失敗するのだ。
安部元首相の人柄については、私は好感を持っているが、それは政治家の手腕とは別次元のことなのだ。
「政権を途中で放り投げた」という一点において、彼は政治家として信頼できない人間なのだ。
だから、どんな秘策を献じようとも、麻生首相は聞き流すべきだったろうと私は思う。
ところが麻生首相は、
(そりゃ、いい考えだ)
と飛びついた。
「人間」でなく「案件」で判断すれば、失敗するのは当然なのである。
「案件」でなく「人間」で判断すべし
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