歳時記

子を見れば親がわかる

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「子」を見れば「親」がわかる。
 これは実感である。
 私の空手道場に多くの子供たちが通っているが、親御さんと顔を合わせてみて、良くも悪くも、
(やっぱりなァ)
 と感じることが多い。
 親が躾(しつけ)をきちんとしている子供は、どんなに幼くても挨拶ができる。舌足らずであっても、挨拶をしようとする意志が見て取れる。
 伸び伸び育てている子は、屈託がない。
 合宿したときなど、私にお菓子を分けてくれる子が何人かいるが、こういう子の親は思いやりに富んでいるものだ。
 反対に、元気はよくても、大人の顔色をうかがう子もいる。
 こういう子は、すぐに言い訳をする。
 自己の正当性を主張する。
 親に会ってみると、口うるさいタイプが多い。
 私は保護司をしているが、非行少年にもこのことは言える。
 子に会えば、親がわかるのだ。
 むろん人それぞれに生き方があり、我が子をどう躾ようと、それは個々の家庭の問題で、私がとやかく筋合いではない。
 ただ、良くも悪くも、子供は親の写し鏡であり、そのことに気づかない親が多いということを、言っておきたい。
 と、エラそうに書いてきたところで、ふと我が子供たちの顔が浮かんできた。
 娘に息子で、どちらも家庭を持っている。
 そういう意味では一人前のはずだが、二人ともデキが悪くて、私は嘆息ばかりしている。
 だが、「子を見れば親がわかる」となれば、私の子供たちを見た他人は、どんな親を想像するだろう。
 我が子のデキの悪さを嘆くのは、とりもなおさず、親たる私のデキが悪いということになるではないか。
 なるほど、天にツバするとはこういうことを言うのか、と妙な納得をしつつ、それでも、
「子を見れば親がわかる」
 と、私はつぶやくのである。

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