歳時記

「資格更新」と「諸行無常」

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 昨日は早朝5時に家を出て、甲府市へ行ってきた。
 日本体育協会公認スポーツ指導者の更新義務講習というやつだ。
 3年ごとの更新で、前回は神奈川県(横浜市)、そして今回は山梨県と、関東1都7県が持ち回りで実施している。
 行きはいいとしても、日曜日の中央自動車道は、たいてい大渋滞である。
 それを思うと億劫だし、義務講習は午前中は講義、午後から実技と丸一日の予定である。
 面倒だし、原稿も溜まっているので、
(やめちゃおうか)
 と思ったが、すでに費用は払い込んである。
 行かなければ、女房がまた文句を言うだろう。
 それで仕方なく出かけたというわけである。
 一日の義務講習が終わり、帰途は思った通りの大渋滞。
(冗談じゃねぇ、更新は今回限りじゃ)
 毒づきつつ、ノロノロの中央高速を帰っていったのである。
 資格といえば、小型船舶操縦免許も17年前に取得して5年ごとの更新を続けている。
 福島県のいわき市で釣り宿をやろうと知人に誘われたのが、免許取得のキッカケだった。
 釣り宿といっても、趣味を兼ねたもので、仲間数人が出資して中古の漁船を購入した。
 地元の漁業組合にも入れてもらった。
 宿に使用する家を借り、〝リース落ち〟のベッド7つを運び込み、居間には豪華なカラオケセットを設置した。
 私も頑張って教習所へ通い、免許を取得した。
(さあ、これからだ!)
 と張り切ったところで、仲間の一人が事業不振でパンク。
 連鎖で、もう一人がパンク。
 いま思えば、バブルが弾けたころである。
 かくて釣り宿もパンク。
 私は免許は取得したものの、購入した中古漁船は、ついぞ1度も操船することなく終わったのである。
 それが17年前。
 教習所で操船したきりで、実際の海で操船したことは1度もない。
 それでも、
(いつかレジャーボートを買うときのために)
 と、5年ごとの講習を受け、更新を続けている。
 いつか、いつか……で、17年がたった。
 いまでは、釣りも、ボートにもすっかり興味を失って、畑で鍬を振るっている。
 まさに、諸行無常。
 自分の思いも、価値観も、人生観も、いつのまにか歳月の流れのなかで変化していることを、「資格の更新」は教えてくれるのである。
  

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