歳時記

思いつきで、手話学習法を開眼

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 いよいよ本気で、手話の勉強を始めることにした。
 11月から、市主催の手話教室が10回の予定で開かれるが、それにも参加申し込みをすませた。
 予習が大事と、購入した手話学習のビデオテープをDVDにダビングし、それをパソコンに取り込んだ。学習環境は飛躍的にアップである。
 入門書に、「外国語を学ぶのと同じだと思え」とあるように、マスターするには反復練習あるのみ。空手道場の中に設けた仕事部屋で、今日は指文字の勉強をした。
 で、夕刻。
 子供たちの稽古時間になった。
 例によって、稽古が始まるまでワイワイとうるさいので、思いつきで言った。
「静かに! 今日はしゃべらないで、指文字で話をする!」
「……?」
「指文字というのはこうやるんだ。ハイ、これが《あ》、これが《イ》……」
「ワーッ、おもしろい!」
 私も熱が入り、稽古そっちのけで指文字の指導を始めた。
 得意になって指文字を披露していると、小学生の一人が、
「《スレッチ》は、指文字でどうやんるんですか?」
 私の指は動かない。
 半音を知らないのだ。
 すると別の小学生が、
「《ジ》はどうやるんですか?」
 これも、指が動かない。
 濁音を知らないのだ。
「エー、次回の稽古までに調べておく。指文字は終わり、さっ稽古だ!」
 子供たちの軽蔑の視線を跳ね返しつつ、冷や汗タラ~リで切り抜けた次第。
 それでも、稽古のあとでパソコンに向かい、半音、濁音、長音を調べて覚えた。
「人に教えることで、技は身につく」
 とは、私が指導者にいつも言う言葉だが、
(なるほど、そのとおりだわい)
 と改めて納得した次第。
 私の手話学習が進むとすれば、それは子供たちのお陰ということになるに違いない。
(いい方法を見つけた)
 と、いま一人で悦に入っているところである。

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