歳時記

顔の日焼け

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昨夜のことだ。
居間に寝ろがってテレビのニュースを観ていると、
「ちょっと、その顔どうしたのよ。日に焼けちゃって」

愚妻が私の顔をのぞき込んで言う。

「バカ者、今日は霊園に行って、納骨法要のお勤めをしてきたではないか」

私は憤然、愕然である。

昨日は暑かった。
広い霊園は陽光をさえぎるものがなく、暑い。
開式30分前に墓前に行くので、施主と話しをしながらも、頭上の強烈な日差しが私のツルツル頭を焦がす。

(焼けるだろうな)
と、私も思っていた。

こうして汗を滴らせながらお勤めをしてきたというのに、
「どうしたの、日に焼けちゃって」
とは、ノー天気にも程がある。

厳しく叱責したのたが、愚妻は意に介さず、
「あなたは昔からすぐに顔が焼けるのよねぇ」
これまたノー天気なことを言うのだ。

今日は昼から病院へお見舞い、夕方から都内で所用がある。
明日も午前中から一日都内に出かける。

「何しているんだから、ほっちゃかほっちゃか出かけて」
愚妻がイヤ味を言う。

「バカ者、わしが遊びで出かけたことが一度でもあるか」
これまた厳しく叱責すると、
「若いころにさんざん遊んでおいて、よくそんなことが言えるわね」
柳眉を逆立て、ここぞとばかり反撃してくるのである。

「弱き者、汝の名は女なり」
とは『ハムレット』の中に登場する名セリフで、女の意志の弱さを嘆くものだが、作者のシェイクスピアはきっと女の本質を知らなかったのだろう。
女は強く、そして恐いのだ。

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