歳時記

北ミサイルと露天風呂

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 北朝鮮とアメリカの戦争に備え、雨戸を閉めて臨戦態勢に入っていた愚妻が拍子抜けしている。
 北ミサイルが、自国にあっけなく落っこちたからである。
 愚妻は籠城に備え、食糧もしっかり用意していたそうだ。
 温泉スーパー銭湯にも出かけないでいた。
 露天風呂に浸かっているときに、ドンパチが始まるとヤバイからだそうだ。
 ミサイルに限らず、愚妻は危機に対する防御反応が敏感なのだ。
 アメリカも、ヨーロッパも、アジアもテロが起こっているので、海外旅行は行かないと言っている。
 それで、ごく近場の温泉スーパー銭湯を気に入っていたのだが、将軍サマがミサイルを飛ばすと言うから、そこにも行かない。
 だが、露天風呂には入りたいらしい。
「もう大丈夫かしら?」
「これからが危ない」
「来週になったらいいかしら?」
「もっと危ない」
「いつになったらいいかしら?」
「将軍サマにきいてみろ」
 わが家では、そんな会話をしているのだ。

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