歳時記

田圃の稲穂

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今日は法事から帰宅し、午睡をとった夕方5時、ウォーキングに出かけた。
猛暑とは言うものの、日陰になった小道は田圃(たんぼ)を渡る風が実に心地よい。

歩きつつ、広い田圃を見やると稲穂がたわわに実っている。

(なるほど、これが『実るほど頭を垂れる稲穂かな』というやつか)

感心する一方で、

(しかし、見方によっては、実れば刈り取られてしまうので首をうなだれているみたいだな)

そんな思いもよぎり、「打ち首を前にした武士は稲穂の心境だったのではないか」と、ネガティブなことを考える。

同じ光景を目にしながらも、そこに投影される思いはまるきりちがってくるということなのである。

帰宅すると、愚妻が庭でゴソゴソやっている。
切った木の枝を束ね、捨てる準備をしているのだ。

汗びっしょりで、ハァハァ言っている。

「疲れるか?」
「当たり前でしょ!」

怒っているので、説教した。

「疲れると思うか、汗を垂らすたびに庭がきれいになると思うかで、価値観はまるっきり変わってくる。たとえば、たわわに実る田圃の稲穂を見て・・・・」
「うるさいわね、早く風呂に入りなさいよ!」

どこまでも度し難い女なのである。

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