歳時記

「熊」と「無意識」

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合宿から帰って数日間、家のなかで「熊よけ」を腰に吊していたが、
「チリンチリンうるさいわね」
自分で買っておいて愚妻が文句を言うので外した。

このあたりに熊など出るわけがないのだが、無意識下の意識というのは恐ろしいもので、今日の午後、ウォーキングに出かけたときのこと。

木々が鬱蒼と生える斜面の下の道を歩いていると、ザザザザっと上から枯れ葉を踏む大きな音がして、黒いものが素早い動きで降りてきた。

(熊か!)

咄嗟によぎり、正対して身構える。

黒いものはマウンテンバイクで、道なき道を上から降りてきたのだ。
ヘルメットをかぶった若いアンちゃんが、身構える私を見て驚いている。

そりゃ、そうだろう。
バンダナ姿の爺さんが拳を握って身構えているのだから。
アンちゃんはそそくさと逃げるように走り去って行った。

数日間、「熊よけ」をつけていた私の意識下の意識に「熊」がいることに、このとき気がついた次第。

人間の「意識」とは、かくのごとく頼りないものなのである。

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