「少欲知足」と「人はパンのみにて生くる者に非ず」。
前者は仏教、後者はキリスト教。
洋の東西で、それぞれ私が気に入っている言葉だ。
現実に根ざした両者の曖昧さがいい。
「少欲」は、欲を否定するのでなく、「ちょとくらいの欲はいいよ」という肯定。
「パンのみ」は、「人生はパンだけじゃないよ」ということから転じて、
「パンも大事だよ」
という逆説になっている。
「欲を持ってはいけない」
「パンのために生きてはならない」
こう言われれば、「ウソつけ」と言いたくなる。
苦言も、提言も、教えも、現実を踏まえてこそ人は耳を貸すのだ。