歳時記

「お説教」の時代か

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「お説教ドラマ」というジャンルが人気なのだそうだ。

私はテレビドラマを見ないのでよくわからないが、
「お説教のようなシーンとセリフが視聴者にウケている」
とネットの記事は書いている。

たぶん、「何でもOKの時代風潮」が背景にあるのだろう。

「何でもOK」とは、価値観の尺度がないということであり、価値観を自分で構築しなければならない。

これは実にしんどい作業である。

となれば、自分で考えるより、
「あんた、それは間違うとるよ」
と断を下してくれたほうが楽ということになる。

だが、説教は難しい。
一つの価値観を、説得力をもって相手に押しつけていくからだ。

論理を用いたのでは破綻する。
つまり、詭弁が勝負。
詭弁を論理的に展開し、
「なるほど」
と腑に落とすのである。

道場で、
「人が先、我は後」
ということを、このところよく話して聞かせる。

稽古のあとで床の拭き掃除をさせるのだが、我先に雑巾を取ろうとするからだ。

「こら! 人が先、我は後だ」
怒鳴ると、
「どうして?」
小学校低学年が訊いてくる。

「生き方としてみっともないことだ」
といった説教をしても、彼らにはピンとこない。

だから言う。
「犬や猫はどうだ? どうぞ私より先に食べてくださいと言うか? 人が先、我は後は人間だけだぞ」

「フーン」
と感心したあとで、
「だけど僕は、やっぱり我が先、人は後がいいな」

説教は、かくのごとく難しいのだが、子供も大人も「説教されたがっている」ということは、肌身で感じるのだ。

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