歳時記

あわだしい毎日

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 春は忙しい時期だ。
 新年度が始まるからだろう。
 私のような自由業でも、あれやこれやと所用に追われている。
 土曜日は、友人のお堂が完成し、お披露目の法要があった。
 都内の空手道場を半分借り受けたお堂で、なかなかユニーク。
 友人は私と同じ歳だが、怠惰な私と違い、NPOを立ち上げて永代供養暮の分野でも活躍している。
 夕刻から神楽坂の寿司屋で懇親会。
 金沢市からおいでになった住職と私と話しが盛りあがり、後日、改めてお会いする約束をした。
 日曜日は雅楽の稽古。
 ちっとも上達しないが、継続コソ何トヤラと、自分に言い聞かせる。
 稽古の帰途、日刊ゲンダイから電話でコメントを求められる。
「ホリエモン氏が書いた小説はゴーストライターがいたということだが、それについてどう思うか」
 ということだった。
 ハウツー本は、「ハウツーの内容」が問題であって、それを伝える技術としてゴーストを使ってもいいと思うが、小説は内容はもちろん、文章そのものが問われるもの。
 ゴーストは問題であるといったような話をする。
 電話コメントはいきなりなので、話しながら内容をまとめていく。
 思考とヒラメキのいい訓練になる。
 昨日は九十九里へ。
 唐突だが、仕事場を引き払うことにした。
 厭きたのである。
「じゃ、パソコンは今のを使って、買う必要はないじゃないの。プリンターだって、新しいの買って持っていったばかりだし」
 バソコンは買ったばかりで、まだ届いていない。
 愚妻の批難は当然だが、私の決断はF1レーサーのごとく、いつも急ハンドルなのだ。
 で、昨日、荷物の一部を捕りに行った次第。
「あとはまかせるから、お前が少しずつ荷造りしておけ」
 愚妻に厳命する。
 今日は、これから畑に行ってジャガイモ植えだ。
 明日は、ボランティアで、施設に行って高齢者の方の話し相手をする。
 私が望んだわけではないが、諸般の事情で、成り行きからそうなったのである。
「何でもかんでも引き受けてくるんだから。仕事、しなくていいの」
 愚妻があきれているが、これは耳が痛い。
 明後日は中学校の卒業式に顔を出す。
 そう言えば、匂いがしなくなって、先週は大学病院へ行った。
 鼻にポリープができているのだ。
 手術して除去するのが一番いいのだが、私は鎮痛剤アレルギーがある。
「術後が問題。入院は一週間」
 と女医さんが唸る。
 このアレルギーは、場合によっては呼吸器官に影響し、死ぬこともあるのだそうだ。
「私は死ぬのは構わないが、痛いのは好きではない」
 女医さんに訴えると、
「じゃ、3週間、薬を飲んでいただいて、様子をみましょう」
 やさしい人なのだ。
 ところが、帰宅して愚妻にこのことを伝えると、
「じゃ、入院一日につき、いくら出るのか計算しなくちゃ」
 こともなげに言うのだ。
 新年度を迎えることとあまり関係がないが、私もあわただしいのである。

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