私は、よく道を間違える。
旧知の道だから、カーナビは使わない。
だから間違え、助手席の愚妻が、
「ちょっと! どこ見て運転してるのよ!」
私を責めることになる。
かつては、
「しょうがねぇだろ」
とか何とか言い訳していたが、これでは愚妻に付け入るスキを与えてしまう。
だから最近は、こう言うのだ。
「この、わしでさえ間違えることがあると知って、おまえも安心しただろう」
さしもの愚妻も二の句が継げず、閉口する。
そして、もし〝人生街道〟を間違えたならば、このセリフを用いようと、私はひそかに思っているのだ。
愚妻を黙らせる
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