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歳時記

「定年退職」を考える

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 昨夜は、知人が出版社を定年退職したので、これまでお世話になったお礼をこめて一席設けた。
 いろんな話をしたが、彼がしきりに口にしたのは、これまでの「会社人生の総括」と「セカンドライフ」である。
 会社人生に悔いがないとし、セカンドライフは希望に満ちていた。
 パッピーリタイヤというやつで、心から彼を祝福した。
 一方、話を聞きながら、「人生の区切り」ということを、私はしきりに考えていた。
 定年退職を人生のリセットとするなら、自由業の私には定年退職がなく、したがって人生にリセットはないということになる。
 こう考えると、何だか息苦しくなってくる。
 リセット、すなわち「やり直せる」という思いは、きっと「心のセーフティーネット」なのだろう。
 だから元旦をリセットの日とし、「ことし一年の幸せ」を祈願する。
 定年退職がない以上、私は自分で人生をリセットしなければならない。
 帰宅して、愚妻に定年退職した知人の話をして、
「わしは、いつ定年退職にしようか?」
 相談すると、
「そんなの、あるわけないでしょ」
 こともなげに言った。
 私には「心のセーフティーネット」がないのだ。
 

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