日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

したり顔

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 会う人がみんな「呉市は災害で大変ですね」と気づかってくださる。
 ありがたいことだ。
 友人たちのことが気になるが、取り込んでいる最中に、役に立たない私が連絡を取るのは邪魔になるだけだろう。
 状況は人伝に聞いている。
 猛暑が続く。
 高校時代、学校で「暑い」と言ったら、
「日本の夏は暑いことに決まっている」
 と、担任に一喝されたことがある。
 そのときは「なるほど」と合点し、以来、どうにもならないことは甘受するようになった。
 だが、齢を重ね、仏法を囓るようになって、少し変わってきた。
 どうにもならないとわかっていることでも、
「でも」
 と思うのが人間ではないか。
 日本の夏は暑いことに決まっているし、そのことはわかっていても、
「でも」
 と、うらめしく思うことがある。
 それでこそ人間というものではないかと、したり顔で思うのである。
 大病をわずらい、死線をさまよった横浜の友人からメールがあり、この酷暑のなかを元気一杯で活躍しているとのこと。
 彼は介護事業を営み、僧侶でもあり、あれこれ夢も語っている。
 したり顔で能書きを言っている場合ではないと、これまた自分に言い聞かせるのだ。 

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