日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

人生、ノーテンキでいこう

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 明け方まで、テレビでソチ五輪を見ていた。
 いったん寝床についたのだが、高梨沙羅のジャンプが気になって、モゾモゾと起き出した次第。
 何が気になったのかと言えば、彼女のストイックな性格である。
 完璧主義と言ってもいい。
 世界ナンバー1であるにもかかわらず、ソチ入りしてから助走が合わないとして迷いを見せていた。
 このストイックな性格が、ここ一番の大舞台ではマイナスに作用するのではないかと思っていた。
 金メダルを獲って欲しいが、勝てないのではないかという危惧があり、どうしてもライブで競技を見たかったのである。
 結果は周知のとおり。
 空手の稽古でもそうだが、ストイックでなければ上達しない。
 だが試合では、往々にしてノーテンキな選手が勝ち上がったりする。
 なぜならストイックな人間は、完璧主義ゆえに、
(あそこがうまくいかなかったらどうしよう)
 と、ネガティブに考える。
 だから萎縮する。
 一方、ノーテンキな人間は、
(オレ、ヘタだけど、結構うまくいったりして)
 と、ポジティブに考える。
 だから伸び伸びとして、実力以上の力を発揮する。
 たとえて言えば、
「宝くじなんか当たるわけないじゃないか」
 と考えるのがストイックな人間で、
「当たったらどうしよう」
 と、マジで期待するのがノーテンキな人間。
 これを競技ではなく、人生に置き換えたらどうか。
「あの人は素晴らしい」
 と賞賛されるようなストイックな人間が負け、ノーテンキな人間が「人生の金メダル」を取ることになるだろう。
 これが人生の不条理というやつである。
 木の葉が沈んで石が浮くという人生の不条理を憤(いきどお)ってはいけない。
「おっ、石が浮いてるぜ!」
 と目を輝かせる人間が、結局、人生をハッピーに生きていけるのではないか。
「私に力がなかった」
 と、自分を責める高梨沙羅を見ながら、そんなことを考えたのだった。

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