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俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

「竜虎」の咆吼(ほうこう)

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 昨日、龍笛(りゅうてき)が届いた。
 先日、このブログで紹介したが、龍笛は雅楽の楽器(横笛)で、2オクターブという広い音域をもち、
「舞い立ち昇る龍の鳴き声」
 とたとえられることから「龍笛」と呼ばれる。
 大分県在住のU氏のアドバイスで、篠笛(しのぶえ)を買う予定から急きょ、龍笛に変更したものである。
 私は寅年の生まれなので、私が龍笛を吹けば「竜虎の咆吼(ほうこう)」になるではないか。
 さっそく梱包を解き、道場でフーフーと吹いてみたが鳴らない。
 愚妻が冷ややかな目で見ている。
 初心者は音を出すだけでも大変だと聞いていたが、ここでピ~ヒャララと音を出してこそ、値打ちがある。
 フーフーと必死でやっているうちに、
 ピィ~
 と鳴ったではないか。
 一度、コツをつかむと、あとはピーヒャララ。
 調子よく鳴るのである。
 愚妻の冷ややかな目は、次第にうんざりした顔になって、
「人が聞いたら、また妙なことを始めたと言われるわね」
 憎まれ口を叩くが、私はおかまいなしで、ピーヒャララ。
 だが、ピーヒャララと鳴るだけではしょうがない。
 さりとて、独習が叶うものか。
 都内で初心者向けの講習会があることは、すでに調べてある。
 通うべきか否か、いま思案の最中なのである。
 ここ数日、雪と雨で天気が悪かったが、一昨日からカラリと晴れている。
 畑指南役の映芳爺さんが昨日、
「いっぺん畑へ行ってみんにゃいけんのう」
 と、独り言をよそおいながら、私にプレッシャーをかけている。
 そんなわけで、今日は畑へ行くか。
「龍笛を畑でやるのも悪くないな」
 私が愚妻に言うと、
「野菜が枯(か)れちゃうんじゃないの」
 愚か者が、そのうち「竜虎の咆吼」を聞かせてやる、と心のなかでつぶやくのであった。

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