日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

趣味を「仕事」、仕事を「趣味」と考える

投稿日:

「松の内」とは、正月の松飾り(門松)を飾っておく期間のことで、元旦から1月7日までを言う。
 もともとは1月15日までだったが、いつのまにか7日に短縮されたのである。
 時代を追って、せわしくなっているということか。
 今朝、所用があって都内にクルマで出かけたが、年末年始と打って変わって、高速道路を走るクルマはみな、忙(いそが)しげであった。
「人生は短い。もっと楽しむべきではないか」
 帰宅して愚妻に話すと、
「あなたは趣味で生きているからノンキなこと言ってられるのよ」
 と憎まれ口を叩いたので、
「バカ者!」
 即座に叱責して、
「私は趣味で生きているのではなく、生きることを趣味にしているのだ」
 愚妻は返事をしなかったが、
「生きることを趣味にする」
 という考え方は先日、スーパー銭湯の湯船で考えたことだ。
 たとえば週1回、家庭菜園を楽しんでいるサラリーマンがいたとする。
 この人にとって家庭菜園は「趣味」で、会社は「仕事」だが、これを逆に考えたらどうか。
 家庭菜園を「仕事」、会社を「趣味」とするのだ。
 むろん、意識の問題だ。
 週に1回であろうとも、生活の糧(かて)を得ることがなかろうとも、家庭菜園を「仕事」とし、会社を「趣味」とする。
 畑に行くときは、
「さあ、仕事だ」
 と思う。
 会社に行くときは、
「さあ、趣味だ」
 と思う。
 もともと家庭菜園は趣味なのだから、「仕事」になっても楽しく働ける。
 一方、生活のために仕方なく働いている仕事も、「趣味」だと思えば気が楽になる。
 これこそが「人生を趣味にする生き方」ではないか、と考えたわけである。
 私がいつも感心するのは、沖縄のハブだ。
 猛毒のハブは人間の敵だが、泡盛に漬けてハブ酒にすることで健康酒になる。この〝逆転の発想〟こそ、「苦」を「楽」に転じる方法なのである。
 私たちの日々は、楽しいことより、つらいことのほうが多い。
 だが〝逆転の発想〟で「苦」が「楽」に転じるとするなら、私たちの身のまわりには「楽」の種がゴロゴロころがっているということになる。
 趣味を「仕事」に、仕事を「趣味」と考えるのは、その一例だ。
 どうぞ、お試しあれ。
 やってみると、気分はうんと楽になるはずだ。

-歳時記

Copyright© 日日是耕日 , 2024 All Rights Reserved.