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歳時記

高校の指紋採取と紛失事件

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 一昨日のニュースで、三重県の私立海星高校の男性教諭が、クラス全員の指紋を取った問題が報じられた。
 ご承知のように、発端は、生徒の携帯電話メモリーカードの紛失である。
 犯人が名乗り出ないため、生徒の指紋を取ったわけだが、これが問題化し、校長は、
「学校としては認めていない。不適切な行為だった」
 と平身低頭である。
 うちの愚妻も、
「ひどいことするわね」
 と憤慨しているので、
「なんで?」
 と問うと、
「だって!」
 と言ったきり、黙ってしまった。
 生徒の指紋をなぜ取ってはいけないのか、深く考えることなく、気分で怒っただけなのである。
 なぜいけないのか、私も実のところよくわからないのだが、あえて言えば、
「生徒の心を傷つける」
 ということと、
「刑事事件のような扱いで問題を解決しようとする姿勢は、先生がみずから教育を放棄するもの」
 といったことになるだろうか。
「だが」
 という思いも一方である。
 メモリーカードの〝紛失〟はどうなったのか、という疑問である。
 もし盗難だとすれば、指紋採取と〝別の問題〟であるにもかかわらず、そっちについてはメディアは触れない。
 つまり、指紋採取のほうが「大きい事件」であるため、メモリーカード紛失という「小さい事件」は捨て置かれたのである。
 両者の問題は別個であり、指紋採取が由々しき問題なら、学校で盗難事件が起こることも由々しきことではないか。
 教育現場で指紋採取が行き過ぎだというなら、
「人のものを盗ってはいけない」
 という、人間として基本中の基本の道徳教育がなされていないということもまた、教育現場の大きな問題だろう。
 と、まァ、イチャモンをつけるわけではないのだが、教育環境はいまのままでいいのだろうかと、本気で思い始めたところなのである。

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