日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

衆院選はまだかいな

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「選挙さえなければいいんだけどねぇ」
 かつて、某議員がそう言って溜め息をついたことがある。
 選挙さえなければ議員という職業はいいものだ、と言外に言っているのだ。
「そうでしょうね」
 と、そのとき私は曖昧に笑っておいたが、この話を酒席で友人たちに披露したところ、
「バカ言ってんじゃないよ。オレだって、会社へ行かなくていいなら、サラーリマンも楽なもんだぜ」
 と憤慨した。
 なるほど、私だって原稿を書かなくても作家をやっていられるなら、これは楽なもんだ。プロ野球選手だって、ゲームに出なくてもレギュラーでいられるなら最高だろう。
 だが、選挙で選ばれるから議員なのだ。
 原稿を書くから作家なのだ。
 ゲームに出場するからレギュラー選手なのだ。
 しかるに人間は、その地位や職業に狎れるにしたがって〝存在理由〟が重荷になってくる。
 私も含めて、身勝手なもんだ。
 衆議院の解散・総選挙の日程が迷走し、若手代議士は、このままでは選挙資金がもたないと悲鳴をあげているという。
 勝手に出馬準備をしておいて悲鳴をあげるとは身勝手もいいところだが、選挙はそれほどに恐いということなのだろう。
 いま思いついたが、「選挙」という言葉は、「戦々恐々」を縮めて「センキョ」に掛けた言葉かもしれない。
 

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