日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

夫婦は他人

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 今年も、残すところ、あと10日。
「早いねぇ」
 と、人は感慨深げに言うが、〆切をかかえる身となれば、ノンキに相づちを打っているわけにはいかない。
 しかも、用事というのは忙しいときに限って入るもので、来週は日帰りで大阪に所用ができた。
「取りあえず年内に打ち合わせておきたい」
 と言われれば、来年に先送りにするわけにはいかない。
 知人が入院し、友人から、
「年内に一緒にお見舞いに行こう」
 と言われれば、来年に先送りにするわけにはいかない。
 ご無沙汰している人から、
「年内に、一度会いたい」
 と言われれば、来年に先送りにするわけにはいかない。
「年内」という言葉は、実に曲者で、たちまち手帳が予定で埋まってしまうのである。
 今日は午前中、保護観察対象者の面接を2件行った。
 明日は朝の10時から道場の稽古納めで、稽古のあと子供たちに豚汁を出し、お菓子を配り、そのあと中学生以上が大掃除。
 明後日も保護観察対象者の面接があり、その次の日は都内で所用が入っている。
 そのあと、大阪、そしてお見舞い・・・。
 年末〆切の単行本がある。
 年明けから少しずつ僧侶活動をするので、お寺から「このお経を練習しておいてください」と宿題を出されている。
 あせりつつ、机の前のカレンダーと時計を交互に見やる。
 ところが、私はこれほどアセっているに、愚妻はノンキなもので、
「冬休みに入ると、日帰り温泉は混むかしらねぇ」
 と話しかけてくる。
「そんなこと、わしにわかるか!」
 一喝すると、
「あら、イライラしちゃってどうかしたの?」
 結婚して間もなく44年。
 ひとつ屋根の下に何年いようと、夫婦は所詮、他人であることを噛みしめる師走の今日この頃である。
 

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