日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

「時間の借金」はしない

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 一昨日は、上野の東京都美術館へ『モネ展』を観に行った。
 忙しくて、それどころではないのだが、忙しいからといって予定を取りやめるのは「時間の借金」である。
 そんなことをしていたのでは、やがて時間において〝破産〟することになる。
 そう思って『モネ展』に出かけた次第。
 平日だったが、結構な人出だった。
「やっぱりモネは絵が上手だな」
 作品の前で愚妻に言ったら、周囲の人がジロリと私を睨んだ。
 画家だもの、うまいに決まっているか。
 そんなこともあってか、美術館に行くと、愚妻はたいてい私のそばを離れて一人で観賞するのだ。
 今日は、在家仏教協会主催の講演会を聞きに出かけた。
 講師は、阿満利麿先生。
 東西本願寺に対して、厳しいことをおっしゃるので、どうしても講演を聞きたかった人だ。
 ご著書は何冊か拝読してはいるが、法然、親鸞、そして念仏についてのお話しはさすがであった。
 ことに『歎異抄』はよかった。
『歎異抄』については、前々から現代という文脈で書いてみたいと思っているのだが、視点が定まらず、発酵待ちの状態だったので、大いに参考になった。
 来春刊行で、「名僧」をテーマに、これも現代という文脈で書くことが決まっているのだが、これの参考にもなり、さすが阿満先生である。
 実を言うと、出かけるギリギリまで、中止にしようかと迷っていた。
 執筆は時間との競争状態にある。
 だが、『モネ展』同様、中止にすれば、これは「時間の借金」となる。
 そう思い直して、出かけた次第。
 行ってよかった。
 と言うよりも、行動すれば、必ずリアクションがある。
 対人関係のリアクションであったり、精神的な意味でのリアクションであったり。
「生涯青春」などと青臭いことは言わないが、人生というジャングルを鉈(なた)でハッサバッサ切り拓きながら進んでいこう。
 人生にリタイアはないのだ。

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