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歳時記

W杯と「お立ち台ギャル」

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 サッカーW杯が始まった。
 観戦していて、理屈抜きに面白い。
 日本にもぜひ勝ってもらいたいものだ。
 ただ、これはいつも思うことなのだが、スポーツを観戦していて、
「何で面白いのだろう」
 と、つい考えてしまう。
 ボールを蹴ったり、球を投げたり打ったりすることに、どうしてここまで私たちは熱狂するのか、ということだ。
 プレイヤーは名誉と報酬がかかっているのだからわかるとしても、見ている側が、なにゆえそこまで大騒ぎするのか。
 ここが、よくわからない。
 ナショナリズムとか地元ひいきとか、代償行為とか、心理的背景はもちろん承知しているし、
「人間は遊びの動物である」
 と言われれば、そうだろうとも思う。
 でも、うんと冷静になって考えると、やっぱりヘンである。
 ことにサッカーは、試合に負けたからといって暴動まで引き起こすが、これを「社会的に糾弾する」ということは、ないのではないか。
 メディアの報道も、根底に、
「これほどW杯はすごいんです」
 という、煽(あお)りのようなものを感じてしまう。
「ちょっと、視聴者のみなさん。たかがゲームで、暴動を起こすのはヘンじゃないですか?」
 とは言わない。
 オリンピックもそうだが、スポーツの世界的イベントは経済効果がケタ違いだ。
 各国の経済界にとっても、メディアにとっても、プロパガンダの政治においても、ウェルカムなのである。
 もちろん、ニュースに接する我々も、
「へぇ、ピストルをブッ放したのか」
 と、野次馬の興味である。
 かつて、バブル景気の象徴として、派手なボディコンのミニスカート姿で扇子を振りながらディスコで踊る「お立ち台ギャル」というのがいた。
 これに対して、「良識ある世間とメディア」は眉をひそめた。
「軽薄」だとか「世も末だ」とか批判した。
 しかし、なぜサッカーW杯の熱狂は許されて、「お立ち台ギャル」のそれは批判されたのか。
 スポーツを見ていると、いろいろ考えさせられるのである。

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