日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

畑に行きたいと思えども

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 そろそろ畑の様子を見に行かねばなるまい。
 不思議と、土をいじりたくなる。
 そういえば先日、野菜の一つひとつに名前をつけてみたらどうか、と愚妻に提案した。
「白菜太郎」とか「白菜花子」とか、「ジョン・ブロッコリー」「メアリー・ブロツコリー」なんて、どうだ。
「バカね。食べるのが可愛そうになるじゃないの」
 一蹴されて、撤回したことがある。
 そんなこんなで無性に畑に行きたくなるのだが、年末、1月中旬、2月末と〆切が続くので、それどころではないのだ。
「行きたい」
 愚妻につぶやくと、、
「畑の時間くらい、どうにでもなるんじゃないの」
 とノンキなことを言う。
 ヒマ人には理解できまいが、1日という日は、10分、30分、1時間の積み重ねを言う。
「畑の時間くらい」とタカをくくっていると、1日はたちまちにして過ぎてしまうのだ。
 そういえば、おふくろが生前、浪費家の私を戒めて、
「1円を粗末にする者は1円に泣く」
 とよく言っていたが、これはまさに至言で、
「1時間を粗末にする者は、1時間に泣く」
 ということになる。
「おい、わかったか」
 愚妻に厳しく説くと、ジロリと私を見て、
「じゃ、風呂で本を読むのをやめたらどうなの。朝晩2回入るのはやめたらどうなの。1時間に泣くことになるわよ」
 くだらぬ言い合いをして、私は、またしてもムダな時間を費やすのだ。

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