日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

黎明即起(れいめいそっき)すべし

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 このところ、朝が起きられない。
 5時起きにしているのだが、目覚めが悪い。
 いったん起きはしても、ヘタをすれば8時ころまでベッドでぐずぐずしていることがある。
 ちなみに、睡眠には《浅い眠り》(レム睡眠)と、《深い眠り》(ノンレム睡眠)があり、人間はこれを90分サイクルで繰り返している。
《浅い眠り》は「身体が眠っているのに、脳が活動している状態」で、このタイミングで起きれば、
「目覚めスッキリ」
 となるそうだ。
 つまり、3時間、4時間30分、6時間、7時間30分の睡眠が「目覚めスッキリ」というわけだ。
 そんなことから、私は5時から逆算して6時間前、夜の11時前には寝るようにしているのだが、どうもスッキリと起きられない。
 年齢のせいか。
 体力が落ちて、稽古の疲れが回復しないのかもしれない。
 となれば睡眠時間を増やさなければならず、《浅い眠り》(レム睡眠)のタイミングに合わせるにはプラス90分で、7時30分に起きればいいことになる。
 睡眠時間7時間30分でたっぷりだが、これでは仕事など諸々の用事が削られてしまうため、マズイのである。
 で、一昨日のこと。
 なぜか4時30分に目が覚めてしまった。
(ありゃ、まだこんな時間か)
 と思ったが、目覚めスッキリなので、そのまま起きて仕事した。
 で、昨日。
 ためしに4時30分に目覚ましをセットしてみたところが、目覚めスッキリではないか。
 あまりにスッキリなので、
(よし!)
 と、5時36分の電車で築地本願寺へ晨朝(朝の勤行)に出かけたほどである。
 で、今朝も4時30分起きで、スッキリ気分。
 これはどういうことだろうか。
《浅い眠り》(レム睡眠)がジャストタイミングなのかもしれないと思ったが、それだけではあるまい。
(ギリギリまで寝ていよう)
 という心がけがよくないのだ。
(頑張って起きても5時だな。これなら《浅い睡眠》にもジャストだし)
 という〝計算〟が、そもそもセコイのである。
(えい! もっと早く起きてやれ)
 という、この〝攻めの気持ち〟が目覚めスッキリになっているのではないか、と考えるのである。
 その昔、武芸者は夜中の2時に起きて稽古したそうだ。
(眠くねぇのかな。5時起きでもいいだろうに)
 と、怠け者の私など思ってしまうのだが、そうではない。
 あえて2時に起きるという〝攻めの気持ち〟が、眠気など吹っ飛ばしているのだろうと、実感として理解できるのである。
 清末の政治家、曽国藩は次のような言葉を残している。
『黎明(れいめい)即起(そっき)し、醒後(せいご)、霑恋(てんれん)する勿(なか)れ』
 黎明は「夜明け」で、霑恋は「寝床でいつまでもぐずぐすしていること」。
 すなわち、
「夜が明けたら、すぐ起きよ。寝床でいつまでもぐずぐすしていてはいけない」
 と、朝の大事さを説く。
 あるいは、黎明を「志(こころざし)」に置き換えるならば、
「志をいだいたならば、ぐずぐずと迷っていないで、すぐに行動に移せ」
 と読み解くこともできるのだ。
 黎明即起。
 いい言葉ではないか。

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