日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

首痛と介護用ベッド

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 首が痛い。
 枕のせいだ。
 いや、ベッドのせいかもしれない。
 愚妻は、老犬の駄犬と八畳間のセミダブルベッドに寝ているが、私は六畳間のシングルベッドなのだ。
 先月、私は寝返りを打とうとして、ベッドから落ちそうになり、以後、寝返りには慎重になった。
 たぶん、そのせいで安眠できず、それが首痛になっているのではないか、というのが私の見立てである。
 むろん、愚妻は言下に否定する。
 否定するだけでなく、
「じゃ、シングルベッドに寝ている人は、みんな首が痛くなるわけね」
 と、挑戦的な言葉を投げかけてくるのだ。
 だが、私は自説を譲らず、ベッドのせいだと主張し続けたところ、昨夕、帰宅すると、
「ベッド、変えましたからね」
 眉をつり上げて言う。
「買ったのか?」
「家にあるやつ」
「ン?」
「以前、お爺ちゃんに買ったやつよ」
「介護ベッド!」
 そうなのだ。
 爺さんがテレビを見るときに楽だろうど、電動でベッドの上体が持ち上がるやつを買ってプレゼントしたのだ。
 ところが、二、三日使用しただけで、
「いらん」
 と拒否。
 年寄りもプライドがあるようで、介護用ベッドは気が進まなかったのである。
 で、どこぞにしまっていたのだが、そのベッドと取り替えたと愚妻は言うのだ。
 寝てみる。
 手元スイッチを入れると、電動音と共に上体が起き上がる。
 なるほど、楽ちんである。
 だが。
「おい、介護用ベッドと、私の首痛とどう関係するのだ」
 愚妻に問いただすと、
「ちょっと、文句が多いんじゃないの!」
 問いには答えず、逆ギレしてしまった。
 かくして昨夜から、私は介護用ベッドで、電動音を響かせつつ、上体を起こしたり下げたり。
 いずれ、このベッドに厄介になるのかと思うと、いとおしくなってくるのである。
 

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