日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

「年齢」を考える

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 昨日、ある懇親会の席で、年配の方に年齢を問われ、
「もう59歳です」
 と答えると、
「なんの。若くていていですね。まだまだいろんなことができて、うらやましい」
 と言われ、面食らった。
 還暦以後は余生のつもりでいるのに、70歳を過ぎた人から見れば「若い」ということになる。
 一方、私から見れば30代は〝人生の駆け出し〟で、40歳になって以後を、
「若いね」
 と言う。
 私が担当する保護観察対象には30代も40代もいるが、
「もう30歳ですからね。ヤバイっスよ」
「いやあ、もう40代になってしまいました」
 たいていこんな言い方をする。
 私から見れば「人生、これから」の年代でありながら、当人たちは人生の〝たそがれ期〟に入ったように思っている。
 いや、20代の女の子でさえ、
「やだァ、あと5年で30歳だもん」
 と、そんな言い方をする。
 どうやら年代に限らず、年齢に関しては常に「もう」という意識があるということか。
 なぜそうなのか考えると、たぶん、それは〝人生に急かされている〟せいではないだろうか。
 30代、40代で退職後のこと、老後のことを考える時代であることを思えば、なるほど人生は短く、
「もう40歳」
 という気分にもなるだろう。
 今年もあと10日。
《短い人生、そんなに急いでどこへ行く》
 ふと、そんな言葉が脳裏をよぎるのである。

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