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歳時記

WBCで考えた「スーパースター」

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 WBC決勝戦で、イチローが見せ場をつくった。
 打撃不振でジャパンの足を引っ張っていたイチローが、周知のように延長戦で決勝打を放ったのである。
 これで、
「さすがイチロー!」
 ということになるのだが、当のイチローも、
「最後に、おいしいところだけいただきました。ごちそうさまでした」
 とユーモラスなコメントをしている。
 野球に限らず、スーパースターというのは、ここ一番という「おいしい場面」が回ってくるようになっていて、それを見事にモノにする。
 だから名声はますます高まっていくというわけだが、私たち凡庸な人間は、「ここ一番」の場面が回ってくると、緊張から足がすくむ。
「ここ一番」の場面は、ヒーローになる絶好のチャンスでありながら、
(ヤバイなァ。失敗したらどうしよう)
 と、ネガティブにとらえ、不安な思いが先に立ってしまう。
 だから凡打になってしまうのだ。
 スーパースターは違うのではないか。
 緊張はもちろんするだろうが、
(チャンスだ!)
 とポジティブに奮い立ち、前向きに勝負を挑んでいくのだと思う。
 だから成功し、名声はさらに高まるということになる。
 私もいろんな席でスピーチを頼まれる。
 気が重いものだ。
 だが、それはネガティブな発想かもしれない。
 ここは、
(自分を知ってもらうチャンスだ)
 とポジティブに考えれば、イヤイヤ気分にならなくてすむに違いない。
 そういえば、私は空手の試合で選手を送り出すとき、
「勝たなくてもいい。思い切り攻めて、名前を売ってこい」
 と言う。
 選手に告げる言葉が、実はそっくり自分に返ってくるのだということを、WBCを見て思ったのである。

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