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俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

倖田來未バッシングって何だ?

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「話はわかった。で、狙いは?」
 これで、たいてい物事の本質がわかる。
「こうすれば売上は倍増すると思うんだ。全社一丸となって頑張ろう!」
「なるほど。話はわかった。で、狙いは?」
 すなわち、「売上倍増を力説する狙いは何か」ということなのである。
 もっと言えば、
「売上が倍増したら、何がどうなるのか」
 ということである。
 意外にも、このことがすっぽりと抜け落ちてしまい、
「よし、わかった」
「なるほど」
 と、その気にさせられ、本質を見落としてしまうのである。
 たとえば、野田聖子議員と、佐藤ゆかり議員の〝手打ち〟。
 二人はそろって記者会見に臨み、
 佐藤ゆかり「このたびは党本部などに大変なご調整をいただきました。この2年半、政治家として政治のイロハを岐阜の皆さまに教えていただいた。生涯の大切な資産、育ての親として大切にして参りたい」
野田聖子「佐藤ゆかり議員が大変な決断をしてくれたことを重く受け止め、さまざまな思いを抱えながら決断していただいたその心に報いるよう、岐阜において政治活動を続けさせていただきます」
 なるほど、二人の「話」はわかった。
 で、狙いは?
 わざわざ記者会を開き、「笑顔と握手のツーショットを披露した狙いは何なのか」ということである。
 狙いは言うまでもなく、次の総選挙に向けてのアピールである。
 だが、その「狙い」については言及せずに頬っかむり。
 いやらしいのである。
 だが、彼女たちのニュースを見聞する我々も、
「なるほどねぇ。佐藤ゆかりも笑っちゃいるけど、さぞやくやしいだろうな」
「女の嫉妬はすげぇからな」
 下世話な興味に目を奪われ、結果、本質を見落とすのである。
 倖田來未の「35歳を回ると羊水が腐る」という失言に対するバッシングもしかり。
「あんな発言、許せねぇ! そうだろ、みんな!」
「そうだ、そうだ!」
 なるほど、倖田來未に非がある。
 不用意な発言である。
「許せない」という〝話〟はよくわかる。
 ならば、非難の「狙い」はいったい何なのか。
 泣かせたいのか、土下座させたいのか、嫉妬の溜飲を下げたいのか……。
 狙いを問わずして、倖田バッシングの本質は見えてこないのである。
 だから、
「話はわかった。で、狙いは?」
 という問いによって、物事の本質は見えてくるのだ。

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