「オレたちは、〝自分〟という〝商品〟を売っている」――これが、一流ホストの矜持だ。
「だって、そうでしょう」
と、某店トップホスト君が言う。
「デーラーの営業マンはクルマを売る。保険屋のオバちゃんは、保険という商品を売る。ところがホストは、売るべき商品も製品もない。何を売るかと言えば、自分という〝商品〟を売って稼ぐんです」
すなわち、自分という全人格で勝負する。世間ではジゴロなどと言うが、「冗談じゃねぇ」と言うわけだ。
なるほど、会社営業マンであれば、
「こんなんじゃ売れねぇよ」
と商品にケチつけることができる。
だが、ホストはそうはいかない。商品にケチをつけるということは、自分にケチをつけることになるからだ。誰のせいにもできない――ここがホスト稼業のつらいところであり、やり甲斐もあるのだと、一流ホストたちは言う。
だが、考えてみれば、「自分という商品」を売るのは会社勤めの営業マンも同じではないか。商品や製品自体の優劣で勝負するのであれば、営業マンは不要だ。性能、価格、サービスなど客観評価が購入の決め手になるなら、学生バイトで事足りる。
そうではない。
「あの営業マンなら……」と客の信頼を得て、商品や製品を売るのだ。すなわち営業マンもまた、「自分という商品」で勝負しているのだ。
営業マンだけではない。職業を問わず、すべてにおいて、私たちは「自分という商品」を売っていると言っていいだろう。
言い換えれば、ビジネスにおいて成功したければ、「自分という商品」をいかに素晴らしいものにしていくか、この一点にかかっていると言っても過言ではあるまい。
「自分は〝商品〟として、どれだけの価値があるのか」――鏡を見ながら自問して、さて、あなたは何と答えるだろうか。
ビジネスとは「自分」を売ることである
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