日日是耕日

俗にありて、煩悩を耕す365日

歳時記

「正月」と「人生のリセット」

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 謹賀新年——と書いておいてケチをつけるのも失礼だが、なぜ正月がめでたいのか、疑問に思ったことはないだろうか。
 ヘソ曲がりの私は、ずっとそう思ってきた。
 12月31日が一夜明けたからといって、何が変わるわけでもない。昨日と同じように太陽は東から出て、西へと沈んでいく。「人生」というしがらみは今日も両肩にずっしりで、新年を迎えたからといって軽くなるわけでもない。正月だからという理由だけで「おめでとう」はノーテンキ過ぎる——そう思っていたのだ。
 正月は「年神様を迎える時節」であると承知してなお、ヘソを曲げてきたのである。
 だが、今年は違う。
「正月」の意味と効用に気がついたからだ。
 たとえば禁酒、禁煙、ジョギングなど、誓いや決意を新たにするのは「正月」が多い。年が改まって区切りがいいからだ。つまり「正月」は人生をリセットする節目でもあるということなのだ。「よし、今年から!」と決意することで、去年までのことは一切チャラ。習字と同じで、失敗したら丸めてクチャクチャとクズ籠へ捨て、新しい紙を広げるというわけである。「新しい私よ、コンニチハ」——それが正月なのだ。
 しかるに私は、「正月のどこがめでたいのだ」とヘソを曲げてきた。新しい自分になれるチャンスを自ら放棄してきたのである。だから、いまもこうして人生のしがらみにフーフー言っているという次第。
 だから、今年は、いろんな時節をとらえて人生を積極的にリセットすることに決めた。一度うまくいかなければ、何度でもリセットすればよい。節分、お彼岸、年度始まり、端午の節句……。書き損じた人生は、ポイとクズ籠へ放り込めばいいのだ。

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